2016年10月2日(日) 第5回 月の沙漠コンサート 

 
日本につながる悠久の弦の旅、月の沙漠のコンサート


アラブ伝統の楽器ウードからリュート、ギター、また琵琶へ。
深い音色を河の流れのようにかなでていく
「月の沙漠コンサート ペルシャから東西へ~シルクロードを行く弦の旅」
(日本アラブ協会後援)が10月2日、求道会館(東京・本郷)で開かれる。

 リュートとギターはウードから派生したとされ、それらには歌も常に寄り添ってきた。
コンサートは今回が5回目で、楽器と歌声が紡いできた悠久の「弦の旅」が琵琶へとつながり、
日本にとっても近い世界であることを伝えていく。

会場の求道会館は戦火を免れた東京都指定有形文化財。
仏教振興の刷新を目指して築かれた〝仏教の教会堂〟といわれる。
正面の六角堂にイスラム模様も飾られ、洋の東西を一つにした月の沙漠コンサートにふさわしい場所。
使用するのは今回までの予定で、これまでにない貴重な演奏会となる。
[サンケイ新聞 電子版より]
  皆様へ/10月2日・月の沙漠コンサート・・・盛況の内に催すことができました。
                                         2017年は10月1日・日曜日、久しぶりに池袋・明日館講堂にて開催いたします。
                                            どうぞ次回もご来場いただけますようお願い申し上げます。ありがとうございました。
                                    <10/3・演奏者、スタッフ一同>
 
◇演奏者

櫻田亨(リュート)

柴田杏里(ギター)

田原順子(琵琶)

常味裕司(ウード)

大城みほ(ソプラノ)


 
【みどころ・ききどころ】 
圧倒的な存在感で正面中央に鎮座する六角堂。
その前にずらり並ぶは人生の荒波に揉まれつつその道を貫いてきた音楽の武者たち。
月の沙漠コンサートで目撃する絵画のような光景は鮮烈な印象となって脳裏から離れない。
楽器たちの共通点や違いを探す楽しさも魅力。
透かし彫りも美しいウードのほとんど同じフォルムを受け継いだリュート。
折れ曲がったネックとボディの涙型の曲線は
琵琶がシルクロードを通ってアラブから来たことを確信させる。
リュートから派生した現代ギターの見慣れた姿がここでは目新しさ飛び抜けた感に映る。
貴重な撥弦楽器たちに加え、ソプラノの毎回意表をついた髪型も楽しみだ。
 


  ◇演奏者より◇ ◇櫻田亨(リュート)◇
102日の”月の沙漠コンサート”では、
レスピーギ「リュートのための古風な舞曲アリア」第3組曲の
元になった曲をリュートで全部弾くことにしました。
イタリアーナとシチリアーナは
キレゾッティの楽譜があるのでよく演奏されます。

最後のパッサカリアはロンカッリのバロックギターための作品です。
最後1曲のみ持ち替えても意味はないので、リュートで弾きます。
問題は「宮廷のアリア」。
べザール曲集にあるリュート伴奏付のフランス語の歌
「エール・ド・クール」なですが、
歌と伴奏がずれていて、しかも小節線がないので、
リズムを合わせるだけでも大変です。
なんとかリュートソロとして弾けるようにしてみました。
レスピーギの曲とはだいぶ趣が違います。
面白いかどうか、聴きに来て確かめてみてください。
 

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◇柴田杏里(ギター)◇
月の沙漠コンサートには今回から参加。
ウードにちなんでギターソロはトルコの民謡、
「Black Sea Dance No.2 ‟Cayelinden Oteye”黒海の踊り」を。
ウードとのデュオではLa Pasionaria(ラ・パッショナリア)。
そしてソプラノと一緒にガルシア・ロルカが編纂した「13のスペイン古謡」から3曲。
さらにウード、ギター、ソプラノでフラメンコでも有名なスペイン民謡「エル・ビート」。
ソプラノの大城みほさんとは11月6日(日)にも、原宿カーサ・モーツァルトで
ファリャの「7つのスペイン民謡」他を演奏します

 
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◇田原順子(琵琶)◇

都落ち

平家物語 巻第七『忠度都落』より
平家物語の冒頭『祇園精舎の鐘の声‥‥‥』から始まります。
  前半は平家の興亡を短く語り、
後半、一門の都落ちに同行して西国へ向かった薩摩の守忠度が
ある夜密かに都に立ち戻り自らの和歌の師・藤原俊成卿を訪ねる場面を描きます。

忠教公は、これまで詠みためた和歌の中から
自ら秀歌とおぼしき百種余りを書き写した巻物を俊成卿に手渡し、
「この源平の戦が終わり世の中が落ちついたら勅撰集が編まれるとききました。
この歌の中からせめて一首なりとも取り上げて頂きたい」と頼むのでした。

その後、『千載集』が撰ぜられました。
巻物の中に優れた歌は幾つもあったのですが、
勅勘の人の歌を載せる訳にはいかず、

一首のみ詠み人知らずとして入れられました。

 『さざ波や志賀の都はあれにしを昔ながらの山桜かな』

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◇常味裕司(ウード)◇

「情緒を平静に置き」「心を落ち着けよみがえらせる」と言われたウードは
アラブの古い楽器と思われがちですが、
現在でもアラブ諸国を中心に大変人気のある現役の楽器です。

フレットを持たないため、最大の特徴である「微分音」を駆使し、
微妙なニュアンスも表現出来ます。

「微分音」では、西洋の「ド」と「レ」の間に9つの音が存在します。
西洋音楽に慣れた耳で初めて聴く方には音が「はずれて」いるように
聞こえるかもしれませんが慣れてしまえば、大変自然な、
豊かな音楽の流れに独特の快感を覚えるはずです。

何より旋律もリズムも驚くほど「懐かしい」気持ちになり、
遠く思うアラブが実はとても身近であることに感動します。

「月の沙漠コンサート」でお確かめください。
 


 
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◇大城みほ(うた)◇

ウード、リュート、ギター、琵琶…撥弦楽器が好きです。
消えてゆくしかない音の美しさ。

でも正直に言えば、月の沙漠のメンバー、みんなのことが大好きなのです。
歌はいつも誰かとのアンサンブル。
それはとても人間の本能に近く、愛に近いものだとかねがね思い、歌っています。
一度は聴いて頂きたい曲がタイトルにもなっている「月の沙漠」です。
ウードと歌うこの歌は、蜃気楼のように、らくだに乗った王子様とお姫様が
現れては消え、ウードならではの幻の美しさを醸し出します。
ほかにも聴きどころはいっぱい。
リュートならではの歌、ギターならではの歌など、
いつの世も寄り添ってきた歌と楽器の親密さを思わせる、
「ならでは」の選曲でお贈り致します。

月の沙漠コンサートにぜひお運びくださいませ。

 

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