(櫻田の師、佐藤豊彦さんより、4月1日のコンサートに寄せて いただきました)
コンサートに寄せて 佐藤豊彦
櫻田亨さんが「フランス・ルネサンスのギターとリュート」と言う大変珍しいリサイタルを4月1日に近江楽堂で開かれます。
これは氏の同じタイトルによるCD発売記念でもあります。
リュート・リサイタルと言えばバッハ、ヴァイスやダウランド、
もしそうでなくてもフランチェスコ・ダ・ミラノなどの高名な作曲家の作品の演奏が定番です。
しかしここでは4コースのルネサンスギターと6コースのリュートがガット弦使用で演奏されます。
ハワイの楽器として有名なウクレレは17世紀にポルトガル人が持ち込んだギターが変身したものです。
と言うことは、ルネサンスギターは小さくて持ち運びが楽なだけでなく、
弦の数も少ないので簡単な和音であれば誰でもすぐに弾けるという大きな利点があります。
その為、床屋で待っている間に弾かれただけでなく、大航海の船旅にも携帯され、人の心を癒したのです。
一方リュートと言えば現在ではダウランドが使っていたような8コースのものが定番ですが、
16世紀末になるまでは6コースでした。これも現在ステージで聴くことは稀です。
特にガット弦使用ともなると皆無に近いでしょう。現存するオリジナルの楽器はありません。
今回の使用楽器はハンス・ホルバイン(1497/98-1543)の絵画から復元製作されたものです。
この2つの楽器で、これだけまとまった数のル・ロワとアテニャンの作品が、
それもガット弦使用の楽器で録音・演奏されるのは世界でも初めてのことと思います。
ル・ロワのギター曲は今までほとんど演奏されていません。
アテニャンは遠く地中海の東、黒海へ香辛料を求めて船旅をした商人で、
彼の作品にはそこここに東洋の雰囲気が感じられます。
今回もとても楽しいリサイタルになると思いますが、
櫻田さんの常に前向きなアプローチにさらなる期待をします。
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